契約書のリーガルチェックは、認識の齟齬や見落としなどのリスクを低くするために非常に大切なことです。しかしながら、契約に関わる法律を網羅し、確認を行うのはとても困難です。
今回は、リーガルチェックを弁護士に依頼するメリットについて確認していきたいと思います。
【この記事のポイント】
- リーガルチェックを行う方法
- リーガルチェックを弁護士に依頼するメリット
- リーガルチェックを弁護士に依頼するデメリット
リーガルチェックを行う方法
リーガルチェックを行うにあたり、次のような方法があります。
- 自社でチェックする
- AI等のチェックツールを利用する
- 専門家に依頼する
自社でチェックする
契約書のリーガルチェックの方法として、まず自社でのチェックが考えられます。自社で行えば、依頼料等がかからないので、コスト削減につながります。
とはいえ、確認を行う人が、特に法知識を持たない場合、不利益が生じる条項や契約書が実際の契約と内容が合っていない等の不具合が見逃されてしまう可能性があります。
また、リーガルチェックを行う人の見方によって、チェックにバラツキが出る可能性があります。
AI等のチェックツールを利用する
最近、AIでリーガルチェックを行う、契約書レビューサービスが展開されています。AIに契約書を読み込ませることで、問題点等を洗い出し、レビューしてくれます。
法律や判例を調べる手間が減り、人件費等のコストを削減できる便利なツールです。
しかしながら、AIのため画一的な対応で臨機応変に対応できない問題点もあります。加えて、サービスを利用するためには、サービス料金を支払う必要があります。
専門家に依頼する
リーガルチェックの方法としてもっとも安全な方法が、専門家に依頼することです。豊富な法知識を持っているため、不利益な条項や契約における問題点を指摘してくれます。
なお、契約書のリーガルチェックは、弁護士資格(※)を持った方でないと委託することはできません。
上述した国家資格を持たないひとが、他人のリーガルチェックを業として行った場合、弁護士法で定められている非弁行為に当たります。
非弁行為を行うと、2年以下の懲役又は300万円の罰金という思い罰が課せられます。
※司法書士・行政書士はその士業の業務の範囲内であればチェックすることができます。
リーガルチェックを弁護士に依頼するメリット
契約書のリーガルチェックを弁護士に依頼するメリットとして、次のようなものがあります。
- メリット① 契約書の有効性が高まる
- メリット② 契約書でトラブルが起きた場合、対応してもらえる
- メリット③ 弁護士との関係性を作ることが出来る
メリット① 契約書の有効性が高まる
弁護士に契約書のリーガルチェックを依頼するメリットとして、契約書の有効性が高まることが挙げられます。弁護士に依頼すると契約書の次のような項目をチェックしてもらえます。
- 契約内容に違法性がないか
- 契約内容に不利益な条項がないか
- 結ぶ契約と契約書に齟齬がないか
上記のような観点から確認して違法性等ある場合には、適切なアドバイスを行ってくれます。また、弁護士がチェックをしてくれたということが、その契約の信頼をアップさせ、有効性が高まります。
メリット② 契約書でトラブルが起きた場合、対応してもらえる
法律の頻繁な改正や新たな判例が次々と生まれるなど法環境は次々と厳しさを増し、契約条項も難度が高くなっています。
弁護士にリーガルチェックを依頼した場合、最新の法律情報をもとにチェックするので、その契約でトラブルが起きた場合、そのまま対応依頼を行えることが出来ます。
契約の内容で、紛争等が起こった場合、行政書士や司法書士(※)では対応できず、弁護士に対応依頼をしなければなりません。
しかし、はじめからリーガルチェックを弁護士に依頼した場合は、その手間が省けます。
※法務大臣から認定を受けた司法書士は、条件付き(限度額140万円以下)で弁護などの法律行為の代理が可能です。
メリット③ 弁護士との関係性を作ることが出来る
弁護士にリーガルチェックを依頼することのメリットとして、依頼した弁護士との関係性を作れることが挙げられます。
弁護士との関係が作られていれば、万が一会社でトラブルが発生した場合、弁護士探しをすることなく、その弁護士に相談や対応依頼を行えます。
トラブルの内容によっては、迅速な対応が求められることもありますので、頼れる弁護士がいるかいないかでは、かなり違ってきます。
また、弁護士は依頼者の利益を最優先するので、安心して頼ることが出来るのです。
リーガルチェックを弁護士に依頼するデメリット
リーガルチェックを弁護士に依頼するとデメリットとして、次の2点が考えられます。
- デメリット① コストがかかる
- デメリット② 時間がかかる可能性がある
デメリット① コストがかかる
弁護士は、国家資格を得た専門家です。そのため、依頼料金を支払う必要があり、費用がかかります。
とはいえ、依頼料金は今後のトラブル予防のためのコストだと考えれば安いものかもしれません。
実際、不出来な契約書が原因で訴訟等が必要になった場合のコストは、リーガルチェックを行うコストよりも高くつきます。
デメリット② 時間がかかる可能性がある
弁護士にリーガルチェックを依頼するデメリットとして、リーガルチェックが終わるまでに時間がかかる可能性があることです。
契約によっては、急ぎで先方と取り交わさなければいけないケースもあるかもしれません。そのような場合には、依頼した弁護士としっかりコンタクトをとって、いつまでに契約書が必要なのかをしっかり伝えることが大切です。
リーガルチェックは弁護士に依頼すべき
今回は、弁護士に契約書のリーガルチェックを依頼するメリットについて考えてきました。弁護士等の専門家への依頼は、料金が発生するため、足踏みしてしまうかもしれません。
しかし、契約書等重要な部分なコストを削減した結果、トラブルが発生し、損失が出てしまっては元も子もありません。
契約書のトラブルによる利益の損失を想定したうえで、リーガルチェックを弁護士に依頼するかどうかを検討してください。
この記事の監修者は…
【弁護士】内藤 政信
【所属】第一東京弁護士会所属
【一言】東京の錦糸町で35年以上弁護士として活動しています。ご依頼者様の立場にそって、より良い解決方法を目指し対応しております。お気軽にご相談ください。