【弁護士が監修】契約書のリーガルチェックの重要性

この記事の監修者:弁護士 内藤政信

【所属事務所】優和綜合法律事務所(第一東京弁護士会)

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会社を経営するうえで、契約書のチェックはとても重要です。契約の確認を行わなかったり、見落としがあったりすると、会社の利益を損失する可能性があります。

そのため、経営者であるならば、必ず契約書のリーガルチェックについて考えるべきです。

本記事では、リーガルチェックの重要性を解説していきたいと思います。

この記事のポイント

  • リーガルチェックとは?
  • リーガルチェックの重要性
  • 自社でリーガルチェックを行うリスク

 

リーガルチェックとは?

リーガルチェックとは、会社の取引先等から渡された契約書が法的に問題ないか確認作業のことを言います。

契約書のレビューと呼ぶこともあり、次のような観点でチェックを行います。

  • 契約書に違法性がないか
  • 自社にとって不利益な条項が含まれていないか
  • 取引内容と合った契約内容か

契約書に違法性がないか

リーガルチェックでは、契約書の内容に違法性がないか確認を行います。自分で作成した契約書や、相手方に提示された内容が違法の場合、契約の一部、または全部が無効になります。

契約が無効になる例として、次のような事柄が挙げられます。

契約内容が公序良俗に違反している

公序良俗とは、簡単に言うと社会秩序や倫理、道徳のことを指します。基本的に契約は双方の合意があれば成立しますが、公序良俗に反すると無効になります。

このことは、民法90条で次のように定められています。

(公序良俗)
第90条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。

具体的な例として、投資法違反の高額な金利の貸金契約や、契約を破った場合のペナルティが非常に高額な場合、愛人契約等が挙げられます。

強行規定に反している

強行規定とは、公序良俗を保護するための規定で、強制適用される規定を言います。

契約を結ぶにあたって、強行規定任意規定と言う法律の規定があります。違いは次の通りです。

■強行規定

本人の意思によって変更することが出来ない規定を言います。
具体的には、利息制限法・時効制度・消費者契約法・特定商取引法・借地借家法・下請法・労働基準法・景品表示法・家族法他、多数盛り込まれています。

■任意規定

契約自由の下に当事者によって変更することが出来る規定を言います。

リーガルチェックを行う上で、強行規定か任意規定かの判断は、契約の有効性を左右する極めて重要性が高いものです。

 

自社にとって不利益な条項が含まれていないか

リーガルチェックは契約書の違法性の確認だけでなく、自社にとって不利益になる条項がないかどうかの確認も行います。

代金の支払い期限が極端に遅いとか、瑕疵担保責任免除とか、違約金が高額とか、報酬のパーセンテージが偏っている場合、自社が不利益を被る確率が上がります。

したがって、民法や商法の規定と比べてみて、不利益な部分がないか確認したり、業界の標準と比較して負担が大きすぎないか等をチェックしたりする必要があります。

この確認は、自社が不利益を被らないためにも重要性が高いものです。

取引内容と合った契約内容か

自社で作成した契約書や相手方(取引先)が提出した契約書が、別の契約書を転用して作成してあったり、作成者の法的知識が乏しかったりする場合、本来結ぶべき契約の内容と異なるケースがあります。

したがって、実際の取引内容契約書の内容がしっかり合致したものであるかの確認を行います。

取引内容と契約書の内容が異なっていた場合、トラブルになる確率が上がるので、内容の確認は極めて重要性が高いです。

以上の3点がリーガルチェックを行う上で基準となる事項です。

リーガルチェックを自社で行うリスク

リーガルチェックを弁護士等の専門家に依頼した場合、当然のことながら報酬を支払う必要があります。

そこで、自社でリーガルチェックを行っている企業も少なくありません。

しかしながら、自社でリーガルチェックを行う場合、次のようなリスクを負うことになります。

  • 契約内容が無効になる可能性がある
  • 契約内容があいまいでトラブルになるケースがある
  • 専門家に比べ法的知識が乏しいため、見落としが発生する可能性がある

 

リスク①契約内容が無効になる可能性がある

自社でリーガルチェックを行うリスクとして、契約内容が無効になる可能性があることです。

前章でお伝えしましたが、法律の規定には強行規定と任意規定があります。契約の内容が強行規定に反していた場合その部分の契約は無効です。

強行規定と任意規定の判断は、一般的な法知識だけでは困難です。

リスク②契約内容があいまいでトラブルになるケースがある

自社でリーガルチェックを行う場合、契約内容があいまいなまま契約を結んでしまい、トラブルになることがあります。

契約書の作成、チェックに携わった人が契約に関する知識が少ない場合に考えられるケースです。契約は双方が負う義務や権利が明確にする必要があります。

義務や権利があいまいだと、不測の事態が起きた場合、どちらにどのような責任があるのかがわからず、トラブルに発展する可能性があります。

 

リスク③専門家に比べ法的知識が乏しいため、見落としが発生する可能性がある

自社でリーガルチェックを行う場合、その業務にあたる人の法的知識が豊富とは限りません。リーガルチェックは、民法や商法等その契約に関わる法律を網羅する必要があります。

民法ひとつとっても、膨大な条項があり、確認し切れず、見落としが発生するリスクが高くなります。

リーガルチェックは弁護士等の専門家に依頼するべき

リーガルチェックを弁護士等の専門家に依頼せず、自社で完結することが出来れば、確かにコストを低く抑えることが出来ます。

しかし、リーガルチェックに見落としがあり、契約内容に自社にとって不利益が発生する条項があると、専門家に依頼するコストよりも高くつく可能性があります。

したがって、リスクヘッジの観点から言って、リーガルチェックはとても重要性が高いものであり、弁護士等の専門家に依頼を検討すべきなのです。

特に、会社にとって大きな利益につながりそうな契約ほど、慎重に検討する必要が出てくると思いますので、専門家へ相談した方が良いでしょう。

 

この記事の監修者は…

【事務所】優和綜合法律事務所
【弁護士】内藤 政信
【所属】第一東京弁護士会所属
【一言】東京の錦糸町で35年以上弁護士として活動しています。ご依頼者様の立場にそって、より良い解決方法を目指し対応しております。お気軽にご相談ください。
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