【弁護士監修】顧問弁護士とは?顧問弁護士の必要性やメリットなどを徹底解説!

【記事監修】:弁護士 市川知明
【所属事務所】弁護士法人エースパートナー法律事務所 

会社を経営していく中で法律に関するトラブルや悩みはつきものです。

そうしたときに頼れるのが顧問弁護士です。

顧問弁護士という言葉は聞いたことがあっても、どんなことをしてくれるのか、顧問弁護士がいるメリット、費用について詳しくご存知ない方も少なくないのではないでしょうか。

今回は、顧問弁護士についてその必要性やメリットなどを解説します。

▼この記事のポイントは以下の通りです。

  • 顧問弁護士の役割と必要性がわかる
  • 顧問弁護士の費用相場がわかる
  • 顧問弁護士を選ぶポイントがわかる

顧問弁護士を依頼するか迷っている方やどんな顧問弁護士を選べば良いのか分からないという方はぜひこの記事を参考にしてください。

顧問弁護士とは?

顧問弁護士とは、企業と契約し、その企業のために法律的なサポートやアドバイスを継続的に行う弁護士です。

顧問弁護士の業務は会社内部の労務関係から外部との契約書のリーガルチェックなど多岐にわたり、経営者はさまざまな面でサポートを受けられます。

法人における顧問弁護士の必要性とメリットとは?

顧問弁護士には、小さな法律問題から大きな法律問題までさまざまな相談ができます。

「問題が起こった後で対処すれば大丈夫」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、問題が起こった後で弁護士に依頼すると、思いのほか問題解決までに時間がかかったり費用がかさんだりすることがあります。

さらに、発生した問題の大きさ次第では社会的信用を失ってしまうリスクもあります。

また、法律的な問題に対して経営者自身で対処する事例もありますが、それでは経営者がリソースの多くをそうした問題に割かなくてはならず、経営に十分に取り組めない恐れさえあります。

その上、法律問題の専門家ではない経営者が適切に判断を下し、対処していくこと自体が難しいケースもあり、きちんと対応できるとは限りません。

こうした事態を防ぐために、日頃から相談できる顧問弁護士が必要なのです。

では、顧問弁護士を依頼することにはどんなメリットがあるのでしょうか。

ここでは、四つのメリットをご紹介していきます。

日々発生する契約などのリスクを回避できる

企業が活動する上では、多くの相手と契約を結ぶこととなります。

従業員との雇用契約取引企業との契約業務委託先との秘密保持契約書などさまざまな契約の種類があります。

顧問弁護士に依頼することで、それらの契約内容に不備や漏れがないか、書式が正しいかなどのリーガルチェックを行ってもらえます。

もし、契約に不備があると業務に支障がでるリスクだけでなく、思わぬ損害を被るリスクもあるため、不備がないかを入念にチェックする必要があります。

これらを日頃から付き合いのある顧問弁護士に行ってもらうことで、自社の指針や要望などを汲み取ってもらいやすくなります。

また、弁護士に相談というと事前の予約などが必要になり、敷居が高く感じられるものですが、顧問弁護士であれば、そうした杞憂なく相談することができるといえます。

このように顧問弁護士の柔軟な対応によって、日々発生する契約などのリスクを回避することができるといえるでしょう。

経営者にとって気軽に聞ける相談相手になる

顧問弁護士は、問題が発生したとき以外にも頼ることができ、経営者の相談相手としても活躍できます。

気軽に相談できるため、問題が小さい段階での対処が可能ですし、問題を未然に防ぐことも可能です。

例えば、日頃の相談を繰り返していくなかで自社が気にしていなかったことであっても、それがトラブルの種になりそうだと指摘を受けて、問題に発展する前に取り除くことができることもあります。

一方、顧問弁護士と契約していない場合、トラブルになるまで弁護士に相談しないことが多く、事前にトラブルを防止することはできません。

また、新規事業に参入するにあたって、顧問弁護士に速やかに相談しておくことで、課題などを見つけ、効率的に参入しやすくなります。

取引先や従業員とのトラブルで心強い味方になってくれる

顧問弁護士はトラブルが起こったときに頼れる存在です。

日頃から相談をしている顧問弁護士であれば、会社への理解もあり、スムーズに対応できます。

特に会社内の事情や背景などを説明したりする時間が省けるので早めに対応してもらいやすくなります。

従業員との労務問題では、それまでの日頃の労働管理がどのようなものであったかが重要な要素です。

そのため、顧問弁護士であれば、その会社がこれまでどのような管理をしていたかを把握しやすいので、トラブルの際にも心強い味方になります。

顧問弁護士を契約していなくても弁護士を探して依頼すること自体は可能ですが、希望に合う弁護士を見つけられないなどの理由で、満足のいく結果が得られないこともありえます。

その点、契約している企業を熟知した顧問弁護士が対応することで、その企業に見合った準備をすることができ、トラブルの早期解決につながるというメリットがあります。

法律の最新情報を教えてもらえる

法律は時代や情勢に合わせて改正されます。

そうした改正はニュースになるものもあれば、ニュースにあまり取り上げられず、情報をキャッチするのが難しいものもあります。

その点、顧問弁護士を依頼していれば、法律の改正に関するニュースを耳に入れやすくなります。

特に、顧問弁護士は契約している会社について熟知しているため、その会社に関連した重要な情報を提供してもらいやすくなります。

さらに、法改正に向けての事前準備段階から対応が必要な場合にも必要事項を教えてもらえるので、早めに対応しやすくなります。

また、顧問弁護士から最近問題になったトラブルや労務関係の事案などを聞くことで、同様のケースが自社内で発生しないよう未然に防ぐ対応などもしやすくなるというメリットがあります。

顧問弁護士の費用の相場はいくら?

顧問弁護士は経営者にとって大きなメリットがある存在ですが、その費用はどれくらいなのでしょうか。

中小企業の場合、企業の規模や契約内容によって左右されますが、多くの場合で月に3〜5万円程度です。

自社内に法務部を設置する場合、法務部員一人を雇うだけでも数十万円の費用がかかってしまいます。

そのため、中小企業であれば、自社に法務部を設置するよりも費用を抑えられることがほとんどであるといえます。

また、契約内容以外で顧問弁護士に相談や依頼したい内容が出てきた場合には、新規で別の弁護士に依頼するよりも顧問弁護士に依頼した方が着手金や報酬金の費用を抑えて依頼できるのが一般的であるといえます。

そのため、費用の面からみても顧問弁護士を依頼するメリットがあります。

顧問弁護士の選び方

顧問弁護士を実際に選ぶとしたらどのようなことに注意して選べばよいのでしょうか。

ここでは、顧問弁護士を選ぶポイントを三つご紹介します。

企業法務の実績があるかどうか

まずは、企業法務の実績があるかどうかが非常に重要です。

以前はすぐに相談できるようにしたいという希望から会社の近くにある事務所を選ぶことがありましたが、現在はZoomなどのオンラインミーティングツールが充実しているため、地理的要因のみに重点を置く必要はなくなってきたといえます。

弁護士や事務所によって専門・得意としている分野が異なるため、相続や離婚問題などの個人の案件を中心に扱っており、企業法務は専門ではないということも十分あり得るため、顧問弁護士を選ぶ際にはその事務所の取扱分野や得意分野を確認しておくことが重要です。

また、企業法務を主な取扱分野としていても、得意な顧問先の企業の業種が金融機関に特化していたり、建設会社に特化していたりすることがあります。

そのため、顧問契約を締結する前に自社の業種は取扱分野や得意分野からかけ離れていないか確認しておくことも重要といえます。

同時に、自社と同じ業種や業態において、過去にどれだけ実績を積んでいるのか確認した上で、依頼する顧問弁護士を選ぶことをおすすめします。

このようなことから、地理的要因よりも企業法務が得意分野であるのか、実績をどれほど積んでいるのかが最重要であるといえます。

顧問費用内でどれだけの対応をしてもられるか事前に確認する

次に、費用の面です。

先述した通り、顧問弁護士の費用の相場は月3〜5万円程度ですが、費用内で対応してもらえる業務や相談できる頻度などは弁護士によって異なります。

予算内でどれほど対応できるのかを弁護士とすり合わせた上で顧問契約締結するかどうかを決めましょう。

単に費用が安いだけで選んでしまうと、満足のいく相談やトラブルに対応をしてもらえないリスクもあるので、注意しましょう。

逆にいえば、費用が高いからといって優秀であるとも限らないため、費用だけで顧問弁護士を決めることはあまりおすすめできません。

顧問契約締結前に、弁護士と費用面での事前確認をきちんと行っておくことが重要といえます。

経営者との相性も重要

最後に経営者との相性が挙げられます。

先述した通り、経営者にとって顧問弁護士は気軽に相談でき、さまざまなアドバイスをもらえる存在です。

そのため、経営者と顧問弁護士の相性が悪い場合、相談もしづらかったり、スムーズな対応がしづらくなったりする場合があります。

顧問弁護士を選ぶ際には、実際にやり取りをしたうえで相性が合うかも確認しておきましょう。

また、弁護士が自社に合わせてどれだけ柔軟に対応してくれるのかも重要な要素の一つです。

土日祝日や夜間でも対応可能な事務所もあれば、平日の日中のみ対応している事務所もあります。

他にもオンラインでどれだけ対応できるのかについても確認しておくべきでしょう。

自身のニーズに合った形で対応してくれる顧問弁護士を選ぶことがポイントです。

【まとめ】会社経営には自社に合う企業法務に強い顧問弁護士を選びましょう

今回は、顧問弁護士についてその必要性やメリットなどを解説しました。

顧問弁護士は、経営者にとって気軽に相談できる上、平時のときはもちろん、トラブルなどが起こった際にも頼れる、いわば会社経営の縁の下の力持ちのような存在です。

そのため、顧問弁護士を選ぶ際には、企業法務に強く自社の特性に合った相性の良い弁護士を選ぶことが重要といえます。

【監修者】:弁護士 市川 知明
【所属事務所】:弁護士法人エースパートナー法律事務所